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南米の王者、
パリ五輪後遺症から立ち上がるきっかけをつかむ

2024年12月16日

南米の王者、パリ五輪後遺症から立ち上がるきっかけをつかむ

世界ランキング7位(2024年12月現在)のウーゴ・カルデラノ(ブラジル)は苦境に立たされていた。
パリ五輪で、南米卓球界の悲願であるメダル獲得を目指したカルデラノ。世界卓球界では、アメリカ大陸の選手がメダルを獲ることはほぼ不可能と見られていたが、東京五輪以降も彼の世界ランキングは一桁を維持。オリンピックでは第4シードを確保するなど順調な成績を収めていた。

五輪本番でも勝ち進み、準決勝まで到達。しかし、準決勝でモーレゴード(スウェーデン)に敗れ、続く3位決定戦ではF.ルブラン(フランス)に敗北。惜しくもメダルを逃す結果となった。

卓球の伝統が根付いていないブラジル出身であり、しかも本格的に卓球を始めたのは13~14歳頃という異色の経歴を持つカルデラノ。南米初の卓球メダルへの期待が、彼の背中に大きな重圧となってのしかかったのは間違いない。特に、準決勝のモーレゴード戦で第1ゲーム、10-4のリードから逆転されて落とした場面は、重圧が微細な感覚を狂わせた象徴的な場面だったのかもしれない。「あの時タイムアウトを取っていれば…」というのは結果論だが、それでもメダルは手の届くところにあった。

パリ五輪後、カルデラノは休養を取ることを決断。しかし復帰後、WTTファイナルズ福岡やドイツのブンデスリーガでは思うようなプレーを見せられなかった。その後、11月下旬に再びリフレッシュのためブラジルに帰国。12月1日から予定されていたドイツ・オクセンハウゼンでの合宿(ルブラン兄弟も参加予定)もキャンセルし、母国での時間を優先した。

休暇後、12月10日に行われたブンデスリーガで、カルデラノはかつての姿を取り戻したかのようなプレーを披露。相手は昨年のヨーロッパチャンピオンクラブ「ザールブリュッケン」。カルデラノは3番手で世界ランキング12位のフランチスカ(ドイツ)を3-0で圧倒し、リフレッシュの成果を示した。

卓球の世界トップ選手たちは、4年に一度の五輪で大きな消耗を強いられる。特にパリ五輪では、直前までシード権を巡る激しいWTTツアーが続いており、その影響も大きかったとされる。

年明けには、1月末のWTTシンガポールスマッシュが控えている。この大会はカルデラノの復活を占う重要な試金石となるだろう。