
2025年05月28日
Photo ITTF
5月25日、カタールの首都ドーハで世界選手権個人戦が最終日を迎えた。
前日、梁靖崑(中国)との準決勝で壮絶な戦いを制したカルデラノ。最終ゲームでは0-3とリードされたが、そこから怒涛の10本連取で10-3とマッチポイントを握った。しかし、梁靖崑がそこから6本連取し、10-9まで追い上げる。最後は、カルデラノがストップレシーブからのバックドライブを決め、死闘に終止符を打った。
男子シングルス決勝に進出したのは、王楚欽(中国)とウーゴ・カルデラノ(ブラジル)。王楚欽の巧みな台上プレーにより強打を封じられたカルデラノは、1-4で敗れた。しかし、世界中の卓球ファンはブラジルの英雄に大きな拍手を送った。
卓球界において、ブラジルは長らく第2、第3グループの国とされてきた。しかも、その多くは日系選手で、拠点はサンパウロに集中していた。カルデラノはリオデジャネイロで生まれ、13歳から本格的に卓球を始めた。ジュニア時代、たまたま卓球のコーチとして訪れたフランス人のジャンロネ・モウニーとミッシェル・ブロンデルがその才能に惚れ込み、拠点をサンパウロに移すよう勧めた。カルデラノは、彼らに招かれてフランスでの合宿に参加するうちに、徐々に才能を開花させていく。
18歳でドイツの「オクセンハウゼン」へと拠点を移し、ブンデスリーガで実力を磨いた。ドイツ移籍から10年目となる2025年、カルデラノは4月のワールドカップで世界ランキング1位、2位、3位の選手を連破して初優勝を果たした。そして、1カ月後のドーハでは優勝こそ逃したが、パワードライブを駆使した「カルデラノの卓球」を世界に強く印象づけた。
国家チームの中でエリート教育を少年時代から受ける中国。かたや卓球後進国ブラジルからドイツに渡り、原石からダイヤモンドに磨かれていったウーゴ・カルデラノ。あまりにも対象的な環境の中で、型にはまらないスーパー卓球が生まれた。
ラケット 「ウーゴ ハイパーアクシリウム」
フォア面 「ジキル&ハイド C57.5」
バック面 「ジキル&ハイド C52.5」